勢いで会社を設立した頃の話|「どうして会社が潰れなかったのか」
直感で始めたカラーグリップの代理店
アイエム株式会社は設立当初、イオミック社製のカラーグリップの代理店をしていました。
これは僕が初めて「商い」をしたときの話です。
代理店契約を締結した当時はイオミックのカラーグリップといってもまだまだ知名度の低い商品でした。
しかし、「僕は今後必ずヒットするだろう。」と何となく感じていました。
何でそう思ったのかと聞かれても説明するのが難しいですが、直感とか嗅覚とかそういうものだと思います。
思った通りと言えるのか、イオミック社の采配が功を奏したのか、全国区の商品となるのにそれほど時間はかかりませんでした。
アイエムの取引先(卸し先)はすぐに100か所を超えました。
カラーのグリップというのは、当時は珍しかったのですが、それが逆に新鮮だったのでしょう。またゴルファーのこれまでの伝統や固定観念が徐々に変化する時勢だったと今では分析しています。女性ゴルファーの増加やゴルフファーの若年化も影響していたのでしょう。
会社の個性を出し、ブランド化する
しかし、商品が全国に普及すれば、流通をカバーするために代理店が増えるのは明白です。
ひとつの卸し先を複数の代理店で取り合う状況も増えました。
会社の個性が「数ある代理店のひとつ」となってしまう前に、僕はクロマックスボールを手がけました。「早々に、メーカーの立場にならなければ・・・」と気付いたのです。
その結果、「全国に卸し先が3,000か所」という、大きな流通網を手に入れることができました。
そして、その流通網を使って新商品を売ることを考えました。
しかし、アイエムをブランド化し、新商品を販売するには、膨大な資金を投入しプロモーションをしなければなりません。
「自社ブランドのパワーがない中で、どうやって商品を販売していくか?」
それが課題でした。
新たな発想で新たな商品企画を
僕がまず考え付いたのは、「コラボ」です。
読売ジャイアンツやハローキティといったブランドやキャラクターの力を借りよう、というわけです。
当時、僕の周りにいた人には「相変わらず発想だけは素晴らしい」と言われました。
「だけ」はいらないと思うけど・・・(笑)。
実はあまり儲からないコラボ企画・販売
しかし、コラボは自社ブランドのパワー不足は補えますが、ライセンス費というものがかかります。
だから完全自社商品より利益率が下がります。
コラボ商品で利益を出すのは、よっぽど当たらないと出ないのです。
ならば、何故コラボ商品を取り扱ったのか?と疑問に思う方も多いはずです。
その答えは、販売元であるアイエム株式会社をプロモーションするためです。
それによってOEM(企画・製造の請負)の相談や問い合わせが入ってくることが分かっていたからです。
それでも儲けることも考える
コラボで赤字ばかりでは会社は続きません。
何かしら利益率を上げる手立てを考えなければなりません。
王道の手法として、グリップを一度に数千本作るような、ロット生産で原価を下げるのがひとつです。
しかし、予約注文がガンガン入るのが前提です。
そうでない場合は相当のリスクがあります。
特にアイエムのコラボ商品は、斬新というか一風変わったものが多く、3000か所ある卸し先のうち、手を挙げてくれるのは100か所ほどという状況も良くありました。
このようにバイヤーの好き嫌いに左右される商品だったので、ロット生産は最小限を心掛けました。
ロット生産は最小限にしつつ、さらに利益率を上げるためには、卸し先に売るのではなく、エンドユーザーに直接売ることです。
途中からECサイトにも力を注ぎ、ダイレクトにエンドユーザーに届けることに着目しました。
当時はとにかくコラボ商品を企画・制作し、「作って売れるのか、売れないのか」ではなく「売る!」という気持ちで商売していました(笑)。
潰れなかった理由
決して気合や根性だけではなく(笑)、代理店販売やコラボ商品での利益率を意識した販売活動、そして会社のブランド化を意識した施策を同時に行うことで、手堅く経営を進めていったことが良かったのかも知れません。
そして何より、運命的に出会ったクロマックスボール。
商品販売のノウハウを得ながらの営業周り、コラボのために大企業へ企画書持参で飛び込んだ日々、そんな色々な経験が今も活きています。